人は見かけによらないことを実感させてくれた紳士的なオジサンにナンパ

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投稿者の名前ひよな

年齢21 歳

ナンパされた場所東京六本木

恋人の有無彼氏はいなかった

ファッション/系統ボディコン系

ナンパされた男性の系統社長風

札幌の高校を卒業し、都内の女子大に入学した私は、親元から離れて暮らす気楽さから、毎晩夜の街に繰り出しては遊び呆けていました。渋谷、原宿、六本木などにある当時流行っていたディスコに通い詰め、青春を謳歌していたのです。

その日も大学の授業を終えると、三軒茶屋にある部屋まで戻り、急いで服を着替えて六本木に向かいました。首都高3号渋谷線の高架橋を見上げる六本木通りに面したアマンド前で、踊り友達と待ち合わせ、目的の六本木スクエアビルへ。平日のせいか、店内は週末ほど混み合っておらず、友達二人とフロアと陣取ったボックスシートを行き来して、ブギーなサウンドに身を委ねていました。

午後零時過ぎ、地下鉄で帰宅する友達を六本木駅改札で見送り、一人ディスコに戻った私は強烈なダンスフルミュージックに乗って、腕を振り上げ、腰をくねらせ、リズミカルにステップを踏みながら、踊り狂っていました。ふと気がつくと、背のあまり高くない、少し猫背の厳めしい風貌をした中年男性が、私の前で不器用に踊っています。最初は全く視界にも入れず、無視を決め込んでましたが、額に汗しながら、太った体を揺すり続けているオジサンが、次第に滑稽に見えてきて、思わず彼の顔を見ながら苦笑してしまったのです。

私の嘲笑に似た頬笑みを、誘いの合図と間違えたオジサンは、私のステップに合わせながら、巨体をくねらせ始めました。(ウザイなぁ〜)と内心思いながら視線を逸らすと、体勢を入れ替えて、再び私の視界に入ってきます。仕方がないので、カウンターにお酒を取りに行くと、私の後をついて来ます。(オジサンは嫌いだから)と一人ごちながら、あらぬ方向を見ていると、「これからの予定は?」と図々しく話しかけてきたのです。月末で金欠気味だった私は、「何か食べたいんだけど・・・」

こうして奇妙なナンパに付き合う羽目になった私が、その夜シンデレラになろうとは誰が予想し得たでしょうか。




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年端もいかない女子大生の要求を二つ返事で了承したオジサンは、紺色の薄地のダブルの上着からキーを取り出して、ディスコ近くの舗道に寄せて停めていた白のベンツのドアに差し込みました。運転席に乗り込んだ彼が、助手席に乗るように手招きします。店内でのショボい仕種が消えています。その堂々とした振る舞いに、元来田舎者である私はすかっり魅了されていました。

「どんな料理が食べたい?」
完全に私の優位は薄れていました。
「何、何でも結構です」
「じゃ、美味しいタイ料理を食べに行こうか?」
主導権は完全に彼に握られていました。

六本木から車で10分も走ると、赤坂見附駅近くにある有名なタイレストランに到着しました。レストラン脇にある駐車場に車を停めると、ドアをロックし、キーを上着の内ポケットに仕舞いながら大股で入口に向かっていきます。その後ろ姿には、成功した者しか持ち得ない自信みたいなものが溢れていました。

こうなると、金縁眼鏡のフレームの上からはみ出している眉毛も、なぜか愛らしく見えてくるから不思議なものです。次から次へと高価な料理が運ばれ、あっという間にテーブルの上が埋め尽くされてしまいました。とにかく、生まれて初めて口にした料理ばかりで、胃袋が悦びを隠せないのか、私の顔には自然に笑いがこぼれていました。

「今夜は本当に有難う。君のお陰で本当に楽しい時間を過ごせたよ」

三軒茶屋の部屋の前まで車で送ってくれたオジサンは、最後まで紳士的な態度を崩しませんでした。これが、私の人生の中でナンパされて一番楽しかった(嬉しかった)想い出です。

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