離婚後、高校時代の同級生が経営するバーに行って、成り行きでワンナイトラブを経験

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投稿者の名前なりん

年齢38 歳

ナンパされた場所北海道札幌

恋人の有無フリー

ファッション/系統OL系

十年あまり連れ添った夫は、常に私より仕事を優先する人でした。家と会社を往復するだけの、伝書鳩のように真面目な彼は、大会社の組織人としては周りの人から尊敬を集めていたようでしたが、家庭人としては失格の烙印を押さざるを得ない人でした。そんな理由から彼との離婚を決意した私は、三十代後半を迎えた春、故郷の札幌へ戻りました。高校卒業以来、短期間の帰省以外は両親と離れて東京で暮らしていた私にとって、それは窮屈な日々の始まりでもありました。戻った当初こそ、年老いた両親のために甲斐甲斐しく家事や買い物に勤しんでいましたが、日を追うごとに段々と怠け癖が顔を出し始め、帰郷後一か月が過ぎる頃には、元来のサボリ癖が私の日常を支配するようになっていました。

両親に愛想を尽かされる前に、自分から家を出て近所に部屋を借りました。当然、生活費を稼ぐために簡単な経理の仕事も始めました。仕事にも慣れてきた初夏のある日、高校時代からの親友○子に誘われ、歓楽街へ飲みに出掛けました。通りに面した雑居ビルの壁で明滅する赤や青や黄色のネオンが、私の気分を盛り上げてくれます。
「ちょっと、驚かせてあげようか?」
○子がお茶目な表情を作っておどけて見せる時は、必ずと言っていいほど何かを企んでいる時でした。その日も例外ではありませんでした。○子に案内された小さなバーは、鉛筆を立てたように細い黒色のビルの最上階にありました。真っ黒のドアを開けると、綺麗に磨き上げられた黒のカウンターの中に、黒のベストを着た長身の男性が後ろ向きに立っているのが見えました。
「いらっしゃ〜い!お、○子、久し振りぃ。元気だったかぁ〜?」
「元気、元気。今日は、面白い人を連れて来たから・・」
「誰、誰だよ?」
「さ〜て、誰でしょうか?▲美、入って来てぇ〜!」
○子に促され、バーの中に入ると、高校時代に「好きだ」と告白されて以来、全く話せなくなってしまった×史の姿が、私の目に飛び込んできました。黒の蝶ネクタイが似合っています。あまりのことに言葉が出ない私を助けるように、○子が続けます。
「▲美、離婚して札幌に帰って来たんだよ、×史」
「ひさしぶり・・だね」
勇気を振り絞って何とか言葉を発した私に、
「そう、そうだったんだ。全然、知らなかったなぁ〜。一流企業に勤めて、そのまま社内結婚したって聞いていたから、○子から」
×史の意外に明るい対応に救われた私は、杯を重ねるほどに饒舌になっていきました。そして、7杯目のカクテルを飲んだあたりから記憶が途切れていました。ふと目が覚めると、店内には私と×史だけになっていました。二十年の時を超えて、二人の距離が急激に縮まった瞬間でした。




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「疲れていたんだな?よく寝てたよ、▲美」
×史の顔が微笑んでいました。黒の蝶ネクタイを外した白シャツのカラーが、だらしなく傾いています。
「今、何時?○子は?」
「もう午前一時過ぎたよ。○子は最終に間に合うように帰ったよ」
○子が「このカクテル、美味しいねぇ〜。▲美も飲んでみなよ」とはしゃぎながらマリンブルー色の液体が入ったカクテルグラスを渡してくれたのは憶えていたけれど、×史が教えてくれたそのカクテルの名前は思い出せませんでした。
「お水を一杯貰える?」
久し振りに深酒したせいか、頭の芯がズキズキするような気がします。貰ったグラスの水を一気に飲み干し、ふっ〜と溜め息をついた傍らで、×史がジッポのライターの蓋を片手で器用に開けて、タバコに火をつけました。タバコの煙を燻らせながら、唐突に核心に触れる質問をしてきた。
「俺たち、どうして話せなくなっちゃんたんだろうな・・あれ以来」突然の展開に目を白黒させている私を無視して、×史が続けます。

「俺のこと嫌いだったのか?」答えに窮している私を気遣うように、「全然、気にしてないから」と言ってくれた×史の優しさに涙がこぼれ落ちそうになりました。「お腹、減らない?何か食べに行こうか?」高校時代から周りに気を配ることに長けていた×史らしい話の振り方でした。初夏とはいえ、北の都の真夜中はひんやりとした空気が漂っていました。バーのある細いビルから歩いて3分のラーメン屋に入りました。湯気の上がったラーメンを音を立てながら啜る彼の横顔に、大人の哀愁が漂っていました。そのラーメン屋を出て、K川辺りのラブホテル街までどうやって辿りついたのかは、ほぼ完全な謎でした。しかしこの夜、めくるめくようなワンナイトラブを経験したことだけは、私の記憶の断片に深く刻み込まれました。

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